「安全は全てに優先する」
こんにちは、とさやです。
去る、4月25日にJR福知山線脱線事故から13年が経過しました。
鉄道会社に勤めるものとして、絶対に忘れてはいけない事故です。
毎年この時期になると、新聞やメディアで、今でも事故の後遺症や、家族・大事な人を亡くした辛さを伝える記事を目にします。
亡くなられた107名の方に、ご冥福をお祈りいたします。
さて、今回は鉄道会社における「安全」について書きたいと思います。
題名にも書きましたが、とさやの勤める会社では「安全は全てに優先する」ということを新入社員時代から徹底的に叩き込まれます。これは、航空会社でも同様のことを教わると知人から聞きました。
例えば、JR福知山線の脱線事故がなぜ起きたのか。これを運転士の立場から考えていきたいと思います。
通常、運転士は「定時運転」ということに高い意識が向けられています。日本の鉄道の時間の正確さというのは、たびたび海外の人を驚かせますが、それは、高レベルでの鉄道システムに支えられているのはもちろんですが、乗務員にも高負荷をかけています。ただし、これは働いている人間のプライドでもありますので、今回そこを非難するものではないのであしからず。
まず、運転士は秒単位で駅と駅の間の運転を行っています。これを「運転時分」と呼びますが、時にこの運転時分が安全を上回ってしまうかのように追い込まれてしまう心理状態になることが運転士にはあるのです。
いや、正確には「安全が全てに優先する」というのは、運転士もわかっており、会社もそれを標榜しているわけなのですが、可能な限り正確な運転時分を確保したいと運転士は考えるのです。その理由としては、当時世間が批判された「日勤教育」などの問題もある会社もあるとは思うのですが、恐らくそういうことよりも、運転士として自分の責任で電車を遅らすことは恥ずかしいという心理状態が働くことがあるといえます。これは、運転士を経験した人にしかわからない心理状態であり、あんまり車掌の時は考えなかったかもしれません。
そういう背景が複雑に絡み合った時、人は安全より運転時分を優先してしまい、あのような大変痛ましい事故が起きる要因を作ってしまうと思います。
ただ、あの事故以降、さらに高いレベルでの安全設備を設けることが、全国の鉄道会社に義務付けられました。そのため、もう二度とあのような事故が起きない様に教訓になったとはいえます。しかしながら、最終的に安全を担保するのは人間なのです。今回伝えたかったのは、そういう人間の心理を理解したうえでの安全確保をしていくことが、お客さまの命を預かる鉄道会社には必要なのではないか、ということです。
それでは、また。